JTCの経験はスタートアップで活かせないは本当か?
友人と話したりTwitterを見ていると、最近よくこんな声を聞きます。
「JTCで学んだことは転職後に何も役に立たなかった!最初からスタートアップに就職すれば良かった!」
僕も転職する前はそうなのか~早く転職しなきゃなーと思っていましたが、実際JTCからスタートアップに転職してみると全然そんなことないよねと思うようになりました。
▽ちなみに転職はこんな感じでした
そこで今回は、僕がスタートアップに転職してみて大手JTC出身で良かったなと思うことを7つ紹介してみます。
スタートアップで働いていて大手JTC出身で良かったと思う理由 7選
1. 大手JTCのロジックが分かる
結局成功しているスタートアップのほとんどはtoBのビジネスモデルでお客さんはほぼほぼ大手JTCなわけです。
そうすると、お客さんと話を進める中で外資→スタートアップな人や、コンサル→スタートアップみたいな人たちが「なんでここで動きが悪くなるの!!?理解不能!!!」と驚愕する隣で、「ふっ、まあこれはJTCの商品本部制による縦割りが問題でね…(キリッ」とどやることができます。その裏では作業服を着ている自分を思い浮かべながら「そういえば3年前に、僕も〇〇課長から承認もらってやってたはずなのに、急に他本部の人がうちの領域に入ってくんなとか言ってきたなあ分かる分かる…」みたいな回想をしつつ、自分事として腹に落とし込めながら進められるわけなので有利ですよね。
JTCは世界的に見ると独特の風習や内部力学があったりするわけですが、こと日本のスタートアップのお客さんということでいうとほぼほぼJTCなので内部事情が分かることは大きな武器になります。
2. ビジネスのお作法が身に付いている
そんなに期待していなかったのですが、僕はけっこうこの点で前職に感謝してたりします。
本当に初歩的なところだと、飲み会のときは偉い人たちの注文が決まりそうなタイミングですぐに店員さんを自分から呼ぶようにしようねとかもそうですし、もう少し実務的なところで言うと、会議前には叩きでもいいので資料を共有して事前に見といてもらうと理解が早いよねとかそんな感じの話です。
スタートアップもいろいろあるとは思いますが、役員陣は日系外資問わず大手経験者で固められているようなところも多いので、スタートアップで「成長!!バリュー出すぜ!!!」みたいに”本質”主義でやってきた人とは違って落ち着いたビジネスのお作法が身に付いていると「彼、みんなとは違ってそういうとこちゃんとやってていいよね」となったりします。
“JTCしぐさ”などと言われたりしますが、体感的に7,8割は意外と外に出ても役に立つものがあったりする気がするので、こんなの意味ねえよと思いながら挫けそうになってるJTC若手の皆さんには、とりあえず1,2年は身に付けてみようとしてみることをおすすめします(ほどほどに、でいいとは思いますが)。
3. 大手JTCにいたという経歴はわりと武器になる
嫌らしい話ではありますが、これもけっこうあるなーと思っています。
たとえばお客さんと話す中で「いや実は前職では〇〇社でこんなことしてましてね」と言えると「ああ、〇〇社ですか、なら詳しいはずですね」とかすごいですねとかになることがけっこうあります。在籍していただけで何もしていなかったとしてもそう思ってもらえるのは便利ですよね。
また何かプロフィールみたいなやつを書くときにも、大手だと会社としても何かと使い勝手が良いですよね。何か提案するときにちょっと名前だけ貸してほしいみたいなこともあったりします。
利用できるものはなんでも利用しようの精神です。
4. 憧れや嫉妬の対象が1つ減るので心理的に余裕が生まれる
「そっちの世界はもう知ってるもんね」って思えるということです。
スタートアップの世界でずっと生きてきた人たちを見ていると、どんなに自分の意志でスタートアップ畑を選んできている人であっても、大手に対する嫉妬やコンプレックスに似た感情を持っている人がそれなりにいるように感じます。そこまでいかなかったとしても、世間からは評価されていて自分は知らない世界に対する何かしらの感情みたいなものって誰にでもあると思います。私自身もコンサルや外資ITの世界に自分がもし行っていれば…という妄想をときどきしてしまいます。
劣等感などではなく、意識してしまう1つの象限を既に埋められているというのは心理的余裕に繋がるよねという話です。
5. 意外とコネが活きる
まだ20代後半でそんなに偉い人やたくさんの会社とのコネクションを持っているわけではない自分ですが、それでも前職のコネは活きているなと思います。
たぶんもう少し上の人たちが転職で求められるコネクションは、お客さんを引っ張ってこれるだとかアライアンスパートナー候補のトップ層とすぐ会えるみたいな、ビジネスに直結するキラーパス的なところだと思いますが、僕が言っているのはそういうタイプのコネクションではないです。
たとえば新規ドメインに入っていこうとする際に、「そのあたりのマーケットのことが分かる詳しい人と雑談して雰囲気知りたいなー」みたいなことがあるときなど、大手JTCではどこかでそこで勝負している人やベストマッチではないにせよ近い領域で何かやっている人がいたりします。そういう人にちらっとメッセンジャーやラインで「どんな感じ~?」と聞けるようなそういうやつです。
具体的な想定ユースケース
・そのドメインの業界構造をざっと知りたいときに教えてもらう
・自分がやろうとしているビジネスを業界の人としてコメントしてもらう
・詳しい人や良さそうな人がいたら紹介してもらう
この辺をふわっと雑談できる人との繋がりは何がどうなるか分からないスタートアップみたいな環境では強いと思っています。
こういう話をすると、利用したいだけしやがって思う方もいると思いますが、まあまあその辺は上手な関係を作ったりその他のところでお返ししてあげたりみたいな大人な関係を作れば良い話です。
またこちらは裏を返すと、転職前にはコネを活かせるようにしておいた方が良いということにもなります。近いうちにJTCから転職する前にやっておいた方が良いこと10選みたいな記事も書いてみようと思うのでまた見てみてください。
6. いざとなれば戻れるでしょという安心感
これは会社にもよると思いますが、私の前職は出戻りokな会社で、最後の人事面談の際にも「疲れたら戻っておいで~」とのコメントをもらいました、いやあなたたちは休憩所かなんかですかみたいな気持ちを押し殺しつつありがたくお礼を伝えたものです。
ほんとに戻れるのかはそのときどきなんでしょうけれども、出戻りが多い会社であればちょっぴり期待しつつ心理的な余裕に繋がるところはあるのではないでしょうか。
また出戻りがだめだったとしても、まあ最悪前職よりちょっと劣るくらいの会社ならどこかしら受け入れてくれるなんじゃない?いう気持ちにもなれます。保証があるわけではないですが、ある程度の安心感にはつながると思います。
7. 既に整ったところからチャレンジできる
これはけっこう大きいんじゃないでしょうか。
僕の場合、大手JTCの圧倒的与信や信用力、福利厚生を使って転職した6年目スタートの時点でこんな状態でした。
結婚、出産というライフイベントを終え、お互い自立しながら生活している
恋愛や結婚って、楽しいしワクワクする反面、頭のメモリーもけっこう取られますしメンタルにも影響を与えると思っています。JTCで地に足をつけているときに恋愛と結婚を終えておけたのは良かったと思っています。また出産に関しても妻が妊娠しているときにサポートしながら、子育ても主体的に取り組むことができたのは良かったと思っています。そのあたりのライフイベントを一通りJTCのホワイト環境の中で整えた状態からスタートアップに挑戦できたのはけっこう有利に働いてくると思います。
ある程度の貯金がある
だいたい夫婦で1.000万円くらいの貯金がある状態でした。最悪どうしても職場が合わなかったとしても1,2年はなんとか生きられるよねという安心感がある状態からスタートできたのは良いことだと思います。これもJTCの家賃補助や持株奨励などの圧倒的な福利厚生が有利に働いていた部分が大きいのではないかなと思います。
持家がある
転職ギリギリの話です。資産ポートフォリオ的にも不動産は入れたいよなーという想いがあったり、毎月2,30万円も家賃でただただ出ていくのはもったいないよねみたいなことを考えたときにどうしても家が欲しくなりました。そのときはじめて知ったのですが、転職直後かつスタートアップ在籍だとローンが厳しく、前職JTCだと最優良なプランでのローンが組めるとのことでした。本当にぎりぎりなところでしたが、前職在職中に戸建てを購入することができ、JTC与信を使えたことはラッキーでした。
まとめると、JTCをフル活用して最高の状態からチャレンジできているという点で、JTC出身のスタートアップ界隈の人となれて良かったなと思っているということになります。
もちろん、これは背負うものが多くなればなるほどチャレンジしにくいという側面もあるので、捉え方によってはデメリットにもなります。その辺りは人それぞれということで。
まとめ
スタートアップに飛び込むにあたりJTC出身で良かったな思う理由7選でした。ちなみに、こんなもん外資ITとか外銀とかの方がもっとすごいに決まってんだろ!!!との批判は受け付けていません!!!はいその通りです!!!