JTCのキャリア開発の最適解を考えてみる

JTCキャリアハック

趣味でHR領域のWebサービスを作っていたことがあるのですが、一番印象に残っているのが「JTC界隈のキャリアに関する悩みは尋常じゃない」ということです。

正解はなく人それぞれという結論に至りがちなキャリア開発ですが、JTCにおける最適解を考えてみたいと思います。

仕事を3つの性質に分けてみる

今回はこんな感じのフレームワークを使って考えてみます。

自分のやっている仕事を、社内で評価される仕事・人材市場で評価される仕事・自分がやりたい仕事の3つに分けて、業務のポートフォリオに注目していきます。

以下、仕事・経験・スキルはほぼ同義、または連続性の上に同義となるものくらいに思ってください。

それでは1つずつ見ていきましょう。

①社内で評価される仕事

社内で評価される仕事は企業によって異なります。ですが基本的に偉い人の経歴にある仕事は社内で評価される仕事であることが多いです。

■JTCで評価される仕事の例
・経営管理業務
・海外支店での総務的立ち回り
・社内外から注目されている案件の受注
・忘年会や新年会の幹事
・言われたことをきちんとこなす系の仕事全般

お気づきの通りJTC社内で評価される仕事は必ずしも人材市場でも評価される仕事ではないです。

日本では近年やっと資本主義のルールに則った経営が評価されるようになりつつありますが、長い間「家族的経営」に代表される日本独自の経営理念をベースとした経営が行われてきました。

そのためJTCでの業務や評価基準はグローバルで見たときの一般的なそれとは大きく異なる場合があります。

②人材市場で評価される仕事

まず人材市場で評価される仕事とはどんな仕事かを見極めなければなりません。下記にいくつかの方法をまとめてみます。

エージェントと話す
仲介サイトに登録しておいて声をかけてくるエージェントの話を聞いてみましょう。評価される仕事を知りたいことが目的の場合、こんなことを聞いてみると良いです。

  • 今の自分は他業界や同業他社だとどう評価されるのか
  • 今までやってきた〇〇の経験は貴重かそうではないか
  • 市場価値を高めるためには今後1~3年でどんな仕事をしていけば良いか

エージェントはあなたが転職するとあなたの年収×30%の売上が上がる人ですので、営業トークに流されず、聞きたいことを聞くようにしましょう。2,3人に会ってみるとより解像度が上がるので良いです。

同年代の異業界×同職種の人と話す
同年代の異業界で働く同職種の人とカジュアルに雑談してみるのもおすすめです。自分のやっている仕事の普遍的な価値(=本当に活かせる専門性)に気付くきっかけになります。

私の場合、IPOを目指しているスタートアップの経営企画の同期がどんなことをしているか話を聞いてみると、意外に今自分がやっている予実管理の経験がそのまま活かせそうであることに気付きました。

そんな知り合いなんていないという人は、yentaなどのビジネス用のマッチングアプリがおすすめです。

■将来求められる仕事を考える
上2つはツール的な話でしたが、今後求められる仕事を考えるのも大切です。

たとえば10年前と比較すると、データサイエンティストのニーズは劇的に高まったと言えるでしょう。

また企画や事業開発を怠ってきたJTCでは、DXに関する機運の高まりと相まって、最近はIT×事業開発の人材やCVCを任せられる人材のニーズが高まっています。

このように将来ニーズが高まる業務経験や専門性は何かを考えることも重要です。

■履歴書を登録してスカウトの傾向を見る
人材仲介サイトで職務経歴を書いておけば、どんなスカウトが届くかを確認することで自分のやってきたことがどんな企業から求められるているのかを検証することが可能です。

そこそこ頑張っている若手JTCであれば、とりあえずビズリーチあたりに登録して職務経歴を更新しておくことをお勧めします。

するとどんな業界の会社のどんな仕事で声がかかるかが分かるので、自分が取り組んできた仕事がどう評価されるのかあたりがつきます。もう少しきちんと声を聞いてみたいということであれば、スカウトをしてくれた会社の人とカジュアル面談をしてみると良いです。

大前提として、人材市場で評価される人になるためには、スキルや経験の掛け合わせが有効だということがあります。

そのため1つ1つ単体で見れば高く評価される業務経験ではないけれども、複数合わさると価値が高まる仕事があるという点は注意が必要です。

③自分がやりたい仕事

たとえ会社に評価されて人材市場からも評価される仕事をしていたとしても、それが自分のやりたいことかどうかは別です。

これはやりたいことがある人のみでokです。なければ2軸で考えていれば良くて、あとはできたときに考えればいいでしょう。

ありがちなケースを考えてみる

この3軸を使ったフレームワークの中で自分の仕事をプロットしてみれば良いわけですが、ありがちなケースをいくつか紹介してみたいと思います。

①社内の出世頭で毎日充実しているが気付いたら転職できなくなっている人

1つ目は社内の出世頭で毎日充実しているものの気付いたら転職できなくなっている人です。

■特徴
・会社に従順で言われたことを100点でこなす
・真面目でパワフル
・トップダウンのJTCで生まれがち

このタイプはフレームワークに当てはめるとここの業務比率が高い人です。

このタイプの人たちは、うまく行けば社内で充実した社会人生活を送ることができますが、気付いたら転職ができなくなってしまっている可能性があります。

JTCは総じてキャリアの連続性を重視しない傾向にあります。役員や上司の期待に応え続けることと人材市場価値を高めることは必ずしも一致しない点に注意する必要があります。

このタイプの人は、会社が求めてくることと人材市場が求めてくることに齟齬がないかを確認するようにし、少しずつ真ん中の業務比率を高めていくと良いでしょう。

②みんなから羨ましがられるが自分は全然楽しくない人

たまにいるのが、社内外の人から「あいつはすごい」「エリートコースだ」と言われ羨ましがられているものの、本人は楽しくないと思っている人です。

■特徴
・基本的にスペックが高く優秀
・綺麗な経歴
・地頭が良い
・情熱を胸の奥に秘めている

このタイプの人はこのあたりの業務比率が高いです。

そのまま淡々と仕事をこなしていれば、社内でもうまく行くでしょうし、転職したいとなったらマーケットからは引く手あまたなはずです。ですが本人は満足していません。なぜならやりたい仕事が他にあるからです。

たとえば経営企画部で会社の経営を担う大黒柱になることを期待されている人がいたとします。会社では評価される仕事を任されていますし、経営管理に関する仕事の経験は業界を問わず評価されるでしょう。

ですがその人は本当はIT部門でIT企画をしたいと考えていました。IT部門はこの会社では力が弱い部門でありみんなは不思議がります。

ワガママに見えるかもしれませんが、情熱や想いというのはその人がどう考えるかの問題です。

このタイプの人は、劇的なキャリアチェンジではなく少しずつやりたいことに寄せていくことをお勧めします。

たとえば先ほどの例でいうと、まずはIT部門で予算を見る仕事から近付いていくなどができるかもしれません。もしくは新しい事業を考えているような話があれば、財務モデルを作って相談に乗るようなところから始められるかもしれません。

なぜそこに行くのか、今やっていることとの関連を意識し、熱意をもって説得をしていくことが重要です。

③戦略的すぎる故に会社で変人扱いされている人

最後はキャリア開発が戦略的すぎるために会社で変人扱いされている人です。

生活の心配をすることはないホワイトJTCに勤務し、かつ他業界に行った大学同期とよく交流するタイプの隠れビジネスアスリートタイプの人にありがちです。

■特徴
・戦略家であり視点は鋭いが手を動かすとミスを起こしやすい
・ITメガベンチャーに行った大学同期と自分を比べてしまう
・Twitterでは起業家や外コン界隈をウォッチしている

いざとなればそれなりの転職ができるので問題はなさそうです。ですがJTCの中で充実した生活は送れないでしょう。

このタイプの人は、言ってしまえば間違ってJTCに入ってきてしまった人です。

JTCのおじさんたちは会社の中で生きていくことしか考えていません。彼らにとって仕事は楽しくないし我慢と辛抱でこなすものと思っています。そんなおじさんたちで作られているJTCで、外の世界からの評価と自分のやりたいことばかりを追求している人は頭のおかしい人に見えてしまうのは当然です。

辞めさせられることはないでしょうから、もし周りから変人扱いされたとしても良いのであれば良いでしょう。それが嫌なら転職することになります。もしくはJTCの中で最適な業務ポートフォリオを作る必要があります。

JTCにおけるキャリア開発の最適解の例

3つの軸で考えてきましたが、結論からいうとこれが私の考えるJTCにおけるキャリア開発の1つの最適解です。

前述したとおり、ど真ん中の業務が100%なのが最高の状態ですが、頑張れば頑張るだけJTCの独特な評価制度の中で人材市場からの評価は低い業務の比重が高くなるというのがJTCの悩ましいところです。

であれば、次善の無理のない、完ぺきではないものの転職したければできるけどJTCの中でも活き活きと働ける状態を目指したのがこのポートフォリオです。

JTCの中で評価をあげていくと自然と業務のポートフォリオは左に寄っていきます。ですので、それはそれできちんとやりつつ時間を捻出し右下側の市場価値を上げつつ自分のやりたいことをやるというわけです。JTCで評価される仕事が80%、人材市場で評価される仕事もしくは自分のやりたい仕事が20%くらいなのではないかと考えます。

本業の中で右下の仕事を行うためには、上司の許可を得て自分がやりたい仕事がある部署のサポートを行うようなことができるでしょう。この際にも本職できちんと評価を上げておくことが必要になります。

またそれも難しいのであればプライベートな時間を使って好き勝手やりましょう

何かやりたいことがあるのであれば、スモールスタートしてみるのがおすすめです。

たとえばこんなウェブサービスを作ってみたいということであれば、エンジニアの知り合いを探して一緒に作ってみるなどができると思います。また最近だと、スタートアップスタジオと呼ばれるプロボノ的に仲間集めをして事業立ち上げに挑戦するようなプラットフォームも盛んです。Crewwなどが有名ですね。

副業規程は勤務を禁止しているケースがほとんどのはずですから、JTCの若手でもチャレンジできる場合が多いはずです。このあたりの知見はあるので、気になる人はいつでもDMください。

おわりに

今回はJTC内で充実した生活を送ることを前提に書いています。

転職ノウハウは様々なところで目にするようになりましたが、JTCの中でもやもやしている人がたくさんいるということは、解決策は「転職する」ではない場合が多くあるということだと思います。

JTCにはJTCだからこそ活用できるリソースがあり、安心して働ける環境が整っているというメリットがあります。

いつどうなるかは分からない世界ですが、JTCで戦闘能力を上げつつ活き活き働ける世界を目指して頑張りましょう!(雑)

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